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2004年3月10日発売。最高位22位。登場回数37回。
理屈とか理由とか、考えることも勿体ないくらいに大好きな曲です。
今現在、こんなにも彼らの音楽に惹かれているのは、この曲があったから。
曲、歌詞ともメインはスター。
それを彩るスターの歌声も、アフロ氏のピアノも、歌詞の中の彼が彼女を思う気持ちも、描かれる情景も、全てが美しくて温かい。その切なさも優しさも、この歌の中に包まれて苦しくなるくらい。何度聴いてもイントロだけで泣きたくなるのです。
タイトルの『奏』は、スターが子供が生まれたら性別に関わらずこの名前をつけようと大事に温めていたもので、けれどこの曲のタイトルがどうしても決まらず、ギリギリまで追い詰められて半ば仕方なく口にしたらすんなり採用されたと言う経緯は、ファンの間では有名な話。
こんな素敵な名前をもらえて良かったねと、この歌が好きな人間は思うんですが(笑)。あまりにもぴったりなので。
歌詞を追うと、旅立っていく彼女に贈る歌。見送ることしか出来ないけれど、遠く離れてもこの歌を忘れないでいて――。電車を待つホームで手を繋ぎ、彼女を前に励ましの言葉一つ思い浮かばない。そんな不器用さと純粋さが、歌の中に散りばめられていてとても眩しい。「さよならに代わる言葉」は、私の中では「僕の声で君を守るよ」なのですが、その強さも輝きも君がくれたものだと伝える真摯さ。
結ばれないかもしれない運命の相手が居るとしたら、こう言う2人なのかもしれない。
彼らの先輩スガシカオさんは、「この曲の力に負けてるよ」と評したそうです。現在の彼らが振り返ってみて、やりたいと思っていることに自分達のスキルが追い付いていなかったとも。
逆に言うと、それだけの力を『奏』が秘めている。追い付くだけの力がスキマスイッチにまだまだあるってこと。まぁ、個人的にはこの時にしか出来なかったであろう声とか歌い方とかがパッケージされていて、今よりも少し大人しい?けれど、真っ直ぐで丁寧で真剣なこの『奏』も言うまでもなく大好きなんですが。
私の宝物です。
こんなにも素晴らしい作品を作ってくれた2人に感謝。感謝して、し尽くしてもなお足りない。
先日、出張帰りのこと。
県庁所在地にも関わらず閑散とした駅のホームで、少し薄曇りの肌寒い夕方で、お土産も買ったし、ホームで電車を待つ間に持って来ていたウォークマンでMDを聞こうと再生。
たまたま。流れてきたのが『奏』で。
正直、鳥肌が立つくらい感動しました。
ホームから見える暗くなりかけた街並みであるとか、イヤホンの外から微かに混ざって聞こえる電車を待つ人達の喧騒であるとか、冬を前にした風の冷たさであるとか。――あまりにも出来過ぎたシチュエーションで、風景や時間帯、気温や色合いが音楽と溶け合うようで、イヤホンがあるだけで自分の立ち位置が別世界でした。
こんな瞬間って滅多にないだろうし、狙ってやっても多分味わえない気がするので、思い出すだに胸を突かれます。
アフロ氏曰く、「『奏』の間奏はベルが鳴るまでの時間」なのだそうです。物凄くそのことに納得しました。彼らが見せたかったものや描いたものが「これ」だったのかは勿論わからないのだけれど、私が思うそれにとても近い感覚に触れられた、その触感の生々しさ(と言うと若干語弊があるのかもしれませんが)。
ああ、凄いなぁとしみじみ思いました。